半月板損傷の痛み改善への道のり
2024/06/27
はじめに
膝の痛みは、多くの方が経験する日常的な悩みの一つです。その原因の一つとして半月板損傷が挙げられます。半月板は、膝関節にある軟骨で、クッションのような役割を果たし、スムーズな動きをサポートしています。しかし、スポーツや日常生活でのケガなどによって損傷してしまうと、痛みや腫れ、引っかかりなどの症状が現れ日常生活に支障をきたす原因になります。
このブログ記事では、半月板の痛みを改善するための3つのキーワードである「早期発見・早期治療」、「保存療法」、「手術療法」について、さらに詳しく解説していきます。
半月板損傷の原因
半月板損傷は、主に以下の原因によって起こります。
スポーツ:サッカー、バスケットボール、スキーなど、膝を捻ったりと負担がかかるスポーツで多く発生します。特に、ジャンプや着地、方向転換などの動作で起こりやすい疾患です。
日常生活でのケガ:階段の段差を踏み外したり、重い荷物を持ち上げたりするなど、日常生活の中で膝を捻るなどして起こることもあります。意外と些細なことで半月板を痛みとして現れます
加齢:加齢とともに、半月板は弾力性や柔軟性を失い、損傷しやすくなります。特に、60歳以上の方や、肥満の方、膝関節に過去のケガがある方は、半月板損傷のリスクが高くなります。やっかいなことは、半月板を損傷してしまうと、変形性膝関節症へと移行しやすいと報告されています。
半月板損傷の症状
半月板損傷の主な症状は以下の通りです。
痛み:膝にズキズキとした痛みや、刺すような痛みを感じます。歩いたり、階段を昇ったりすると痛みが増すことが多いです。膝のお皿の下のスジ(膝蓋腱)の左右どちらかをグッと押すと痛みがでるのも特徴です。
腫れ:膝が腫れ上がり、熱を持っていることがあります。
引っかかり:膝を動かすと、引っかかるような感覚や、カクッという音がすることがあります。特に、膝を曲げ伸ばしたり、方向転換したりすると起こりやすいです。
可動域制限:半月板損傷では、膝の曲げ伸ばしをする際、半月板が関節内でスムーズに動くことができず、膝の曲げ伸ばし制限されることがあります(臨床上結構多いですね)
ロッキング:膝が動かなくなり、固まってしまうことがあります。これは、損傷した半月板が膝関節の中で引っかかってしまうため起こります。この場合あまり痛みを伴うことは少ないです。
半月板損傷の診断
半月板損傷の診断は、以下の方法で行われます。
問診:医師が、患者の症状やケガの状況について詳しく尋ねます。いつから痛みを感じているのか、どのような動作で痛みがでるのか、過去のケガ歴などについて聞きます。
視診:患者の膝を診察し、腫れや変形などの異常がないか確認します。
触診:患者の膝を触診し、圧痛や引っかかりなどの異常がないか確認します。
画像検査:レントゲンやMRIなどの画像検査を行い、半月板の状態を詳しく調べます。レントゲンでは、骨の状態を確認できますが、半月板の状態は確認できません。MRIでは、軟骨や靭帯などの軟部組織の状態を詳しく確認することができます。基本的には画像診断によって診断が確定されます。
半月板損傷の治療法
半月板損傷の治療法は、大きく分けて2種類あります。
1. 保存療法(手術以外の手段)
軽度の半月板損傷であれば、保存療法で症状を改善できる場合があります。保存療法には、以下のような方法があります。
安静:膝への負担を減らすために、痛みが強い急性期の数日は炎症を抑えるためにも安静にして過ごします。膝に負担がかかる運動やスポーツは避け、杖を使って歩行したり過ごします。しかし、過度な安静は逆に筋力の低下を引き起こし、膝の安定性が低下し、さらなる痛みを引き起こします。早期の改善のためには、半月板を保護しつつ動かしていくことが近道となります。
冷却:炎症を抑えるために、患部にアイシングを行います。1回15〜20分程度、1日数回アイシングを行います。
圧迫:腫れを抑えるために、患部に包帯やサポーターで圧迫します。包帯やサポーターは、医師の指示に従って適切なものを選びます。
挙上:患部を心臓より高くすることで、腫れを抑えます。椅子に座っているときは、膝にクッションなどを置いて、心臓より高くします。あくまで超急性期のみです(数日)
薬物療法:痛みや炎症を抑えるための薬を服用します。非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)や、鎮痛剤などが処方されます。激痛である場合は、しっかり疼痛コントロールすることが重要です。
ゆらし療法:やさしく柔らかくそして繊細なタッチで患部や患部周囲の筋肉や関節にアプローチする即効性のある手技療法です。
鍼灸治療:痛みや腫れで歩けないつらい症状を早期に改善します。鍼灸治療は強い炎症や痛みに即効性がある治療法です。
理学療法:理学療法士による指導を受けながら、半月板損傷に悪影響がでない方法で、筋力トレーニングや、正しい身体の使い方などの運動と練習を行い、膝関節の機能を回復させ適切な運動をすることが重要です。(ここでの運動というのは、走る歩くではなく、半月板に悪影響がでないよう、しっかり膝の機能を使い回復させる運動を指します)。
特に理学療法は、保存療法において重要な役割を果たします。
というか、保存療法の場合は理学療法次第といっても過言ではありません。
どんなことをするかというと、、、
筋力トレーニング:太ももの筋肉や膝周りの筋肉を鍛えることで、膝関節の安定性を高め、痛みを軽減することができます。
ストレッチ:膝周りの筋肉や組織を柔らかくすることで、可動域を広げ、痛みを軽減することができます。重要なのは、個々にあった必要なところだけをしっかり伸ばし、筋力発揮ができない筋肉にはストレッチはしません。
プロプライオセプティブトレーニング:膝関節の感覚を改善することで、バランス能力や体幹の安定性を高め、再発防止に役立ちます。
モーターコントロールエクササイズ:膝関節の動きを正しく使うためには、膝関節の筋肉だけを使う練習では獲得できません。足関節や股関節、体幹のコントロールを十分に行いながら、膝に負担のない正しい身体の使い方を獲得します。
保存療法の注意点
保存療法は、すべての半月板損傷に効果があるわけではありません。以下のような場合は、保存療法で症状が改善しない可能性があります。
損傷範囲が広い
ロッキング症状がある
スポーツなどの活動で痛みが強くなる。
このような場合は、手術療法が必要になる可能性があります。主治医とよく相談することが大事です。
2. 手術療法
保存療法で症状が改善しない場合や、重度の半月板損傷の場合は、手術療法が必要となる場合があります。手術療法には、以下の2種類があります。
切除術:損傷した部分を切り取る手術
縫合術:損傷した部分を縫い合わせる手術
切除術
切除術は、半月板損傷の中でも、損傷範囲が広い場合や、ロッキング症状(膝が一定以上伸びない・曲がらない)がある場合に行われます。損傷した部分を切り取ることで、痛みや引っかかりなどの症状を改善することができます。
縫合術
縫合術は、半月板損傷の中でも、損傷範囲が小さい場合に行われます。損傷した部分を縫い合わせることで、半月板の機能を回復することができます。もちろんその後の正しいエクササイズをしないといけません。
手術療法の注意点
手術療法は、必ずしもすべての症状を改善できるわけではありません。また、手術にはリスクが伴います。以下のようなリスクがあります。
感染症
出血
神経損傷
再発
手術を受ける前に、医師と十分に話し合い、手術のメリットとデメリットを理解することが大切です。
手術後のリハビリテーション
手術後は、リハビリテーションを行い、膝関節の機能を回復させていきます。リハビリテーションには、理学療法士による指導を受けながら、段階的に運動強度を上げていくプログラムが含まれます。
日常生活へのヒント
半月板損傷の痛みを改善し、日常生活を快適に過ごすためには、以下の点に注意することが大切です。
医師の指示に従う:保存療法や手術療法を受ける場合は、医師の指示に従い、適切な治療を受けることが重要です。保存療法の場合は、悪化した場合は再度受診し、保存療法の場合は、理学療法士が在籍している施設を訪ねましょう。
無理をしない:痛みを感じたら無理をしないことが重要です。しかし、なぜ痛みがでたのか(悪い使い方をしたのか、再度炎症がおきたのか、悪化したのか)を十分に都度医師や理学療法士に検査してもらいましょう。
適切な運動を続ける:適切な運動を続けることで、膝関節の機能を回復し、再発防止に役立ちます。
体重管理をする:肥満は膝関節への負担を増加させるため、体重管理をすることが大切です。
サポーターを使用する:膝関節をサポートするサポーターを使用することで、動きがスムーズになることがあります。理学療法士に評価をしてもらい、動きやすい、痛みが少し楽になるならば使用しましょう。
まとめ
半月板の痛みを改善するには、早期発見・早期治療がかなり重要となり、そして保存療法、手術療法のどちらを選択するかによって必要なことが変わってきます。
説明したような症状があるならば、まずは整形外科がある病院に行き検査をしましょう。
主治医と保存療法にするか、手術療法にするかを決めましょう。手術をしないという選択になったならば、適切な理学療法が必要不可欠です。ただ単にマッサージ、動かすではなく、半月板の機能を理解した上で身体の使い方まで修正し、再発予防を行いながらより動けるようにパフォーマンスを向上させていきましょう!
当院では、ゆらし療法、鍼灸治療を行いながら組織の修復を早め、そして理学療法士によるエクササイズと手技療法で早期に改善することを行なっております。気になる方は是非一度ご来院を♪
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タイチ鍼灸接骨院
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